詩の日めくり 二〇一四年六月一日─三十一日/田中宏輔
バスに乗り遅れること。それも一つの詩である。
授業中にノートをとること。それも一つの詩である。
消しゴムで字を消すこと。それも一つの詩である。
6割る2が3になること。それも一つの詩である。
整数が無数にあること。それも一つの詩である。
日が没すること。それも一つの詩である。
居間でくつろぐこと。それも一つの詩である。
九十歳まで生きること。それも一つの詩である。
二〇一四年六月二十日 「詩人」
詩人とは、言葉に奉仕する者のことであって、ほかのいかなる者のことでもない。
二〇一四年六月二十一日 「考える」
よくよく考える。
くよくよ考える。
二〇一四
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