短歌5首/朧月夜
 
見つかって、見つからないよと君が言う。まるで透明人間みたいに。

目に見えない電車に昨日乗りました。ゆられていく先すら分からずに。

打消し線の線を取り上げ弦にする。ラ音の調べ、この世のものか。

雨の日に、こそばゆい思いのするもの。折り畳み傘の糸のほつれ。

幽霊と話し、しきりにうなずく君は何を想い、抱えているのか。
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