湖畔と菌糸/道草次郎
 
糸くずの
ふりかかる
だまった湖面に
傾斜した
クレセント・月(ムーン)が
代入される

みぎも左もわからぬ
夜来の湧出(ゆうしゅつ)

妖精により
繙(ひもと)かれたプリズムは
夜の底へ
ゆれながら沈み

高らかな天の喇叭も
森の耳には
吃音で
根をおろすものは皆
光蘚(ヒカリゴケ)のシンフォニー(交響詩)に
汐時を
スライスする

万場の喝采
交感された地下の平和が
また
いっそう
その奥行をます


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