深夜勤務の時のこと/板谷みきょう
 
崩れた

看護助手が立ち上がりながら
犯されそうになったのではなく
腰に繋いである病棟の
施錠扉のチェーンキーを奪おうとして
襲われたことを話してくれた

その後
襲ってきた患者の顔ぶれを
保護室に全員集めて
院長に連絡をした

離院を計画した患者の数は
二十名近くに上って
主犯格の患者は強制退院となり
転院して去っていった

その月の給料は
七万円の報奨金が付加されていた

追加支給されたのは
あの時だけだ
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