彼は十代が終わりに差し掛かる頃に/こたきひろし
た
だからたまに来客があっても一人で応対し料理を作り運ぶ事ができた
彼女は不思議にいつも一人で来客した
普通、女性客は一人での来客を嫌うものだ
大きな店舗ならともかく席数の少ない小さな洋食屋なのだから
若い女性客と店員が二人だけになる店内で彼の気持ちが昂ぶるのは仕方なかった
料理を運び終わると会話したくなってしまった
勿論
最初の頃はその欲求を抑えたのは書くまでもない
会話を客が望まなければ、直ぐに来なくなってしまう事を怖れたし、それがきっかけで悪い評判が立って客足が遠のかないとも限らない
だけど時が経つにつれてお互いの間に自然と会話が生まれて自然に弾むようになった
ある日に
彼女が初めて言ってくれた
わたしこの先に有るスナックで働いてるの。良かったら飲みに来て?
彼女はけいこと言う名前だった
名字は教えてくれなかった
けいこが彼に気づいてくれた
お絞りを手にとって近寄って来た
着ていた衣装は大きな乳房を強調していた
そこからスタートするかも知れない物語に彼は期待して
震えた
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