Avanti/服部 剛
 
う一人の出演詩人と、三人で
高田馬場のうまいラーメン屋の
カウンターに肩を並べ
味噌ラーメンにニンニクを少々入れて
レモンサワーをごくり、とやった

帰り際の交差点で
二人の肩に手を置いて
「三本の矢って、折れないから
 僕もがんばるからさ」

そう言った後、僕が以前に
「ぽえとりー劇場」という朗読会の司会をした
BensCafeの跡地へ行き
ひとり佇んでいた

(懐かしい、言葉の夜の賑わいと
 もういない幾人かの詩人の面影を視ていた)

コロナ禍の二十三時
すでにシャッターは下りていた
現在の店の名前は「Avanti」

暗がりに光るスマホで
僕は電子の辞書を引く
気づくとなぜか
しょっぱいものが目に滲(にじ)み、拭いていた

「Avanti」

前へ、前進、もっと先へ  









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