眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
統のなかで」(『本に読まれて』)
「ながいこと、この国の現代詩の可能性について確信がもてなくて、こんな考えに捉われていた。いっそのこと、過去の詩人が遠い国の言葉で紡ぎあげた詩に関わっていれば、なまの痛みに身を抉られることなく、詩に浸る楽しみだけを手に入れることができるのではないか、と。そのため(中略)極力、同時代の日本語の詩に手を触れないよう気をつけていた」(同書)。ここであなたは、池澤夏樹の詩をこう高く評価する。「アレクサンドラン(引用者注:十二音綴)ふうの五行からなるほとんど完璧な定型詩」「形式が厳しく追求され、それがリズムをはぐくんで(略)」(同上)あなたにとって、詩とは、リズムや形式を持
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