眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
、と喝破している。また、あなたが過ごしたイタリアの知識人に囲まれた環境のなかで、あなたは詩の音韻やリズムについての確かな感性と知識を育てていた。たとえば、ペトラルカの詩の、音節の数や脚韻やアクセントの置き方の素晴らしさについて、「そういう工法が隠されていると判った時には、ああ、これは駄目だ、とても訳せないし、太刀打ちはできない。それでも、これが判ってよかった、生きているうちに判ってよかったと思って……」(池澤夏樹との対談、『池澤夏樹詩集成』付録)と語る。「工法」、という言葉について「たぶん建築の学生が力学というのか、工法の勉強をして初めて建造物を理解する、という感じです」という方法で、詩の形式をつ
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(2)