冬の兆しと安寧と/道草次郎
ら
歴史時代も
童話も
剣と魔法の物語もみな
らんらんと
冬の銀漢に佇む小さなちいさな
わらべうたかな
鞴(ふいご)のようなハエトリグサは
冬は一体
どうしていることだろう
スローモーション
スリープモード
それとも
サカナクション?
いや
これはちと
ハエトリグサの六千五百万年前の
分化的証拠の化石を
探している人も
なるほど
たしかにこの世にはいるそうだから
安寧あんねい
しゅみの嶺すじは
どこからも
どこまでも
滑なめらかすべらかで
冬に齎(もたら)されるのは
そうした六角柱の氷晶の報せ
そういうのも又
うつくしく
戻る 編 削 Point(1)