こぎつねとまんまるお月さま(童話)/月夜乃海花
 
さむいさむいふゆのなか、雪でできたおうちに住むきつねの親子がおりました。
「いってくるわね。」
きつねの母はこれから、こぎつねのために狩りをしに行くのです。
「いっしょにつれてってよ!ぼくだって、ネズミくらいとれるもの!」
「あぶないから、だめよ、おうちでちゃんとねて、まっているのよ。」
狩りをする夜にはたくさんの恐ろしい動物がうごいているのです。
「うん、わかったよ。」
こぎつねは大人しく、母さまの帰りを待つことにしました。

とはいえ夜の冬はさむいのです。雪の巣でひとりぼっちで寝るのはこぎつねにとってはさびしくてさびしくて涙がこぼれ落ちました。
「いつも、母さまはぼくのため
[次のページ]
戻る   Point(3)