終の犬 1。/たま
。が。何事も。
自ら決めたことを守らない性格の。Kは。いつも。彼を。DAN。
と。呼んだ。彼が。同居して。一月が経たぬうちに。Kの。家の。
カーペット二枚と。座椅子と。スリッパ二足と。Kの。カーディ
ガンが。ボロボロになった。そのついでに。彼は。Kと。Kの妻
の。手足を傷だらけにした。
「ちょっと待て。話しが違う。こいつは詩人の犬ではない……」
と。Kは。途方に暮れるのだった。が。彼に。とっては。詩人の
犬になるつもりは。全然。なかったのだ。ただひたすらに。彼は。
自己を主張し。Kは。そんな。彼の。幼い気持ちが読めなかった。
のだ。畑仕事を終えた午後。Kの。膝の上で眠る。彼は。Kの。
右手の親指を咥えたまま。離そうとはしなかった。深夜。寝床に
つくと。Kは。夜具の中に。彼の。臭いを嗅ぐのだった。が。ひ
ょっとして。それは。自分の体臭ではないか。と。まどろむ夢の
入口で。考え込むのだった。
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