分解する/道草次郎
 
細胞壁には鍵を掛け
咎の走幅跳にいそいそと臨み
歳月に鞣された呼吸と律動をたくわえ
中空はどこまでもうつくしく
しかしその全貌は中空の為に須くそれを欠き
一朶の有意の他者を穹に飼い
詰まる所の精神優位主義的な餌を与え
暗がりでは星に呟き
毎朝復活する乾涸び果てたマリオネットの幼体を
軌条に寝かしつけてはよしとする
既にして骸
立って居てしまうのは
生存の海が持つ浮力の控訴にちがいなく
附記され
区分され
なにものかへと顔面神経それを貶め
他人行儀な愛撫を
頭蓋内ビオトープへ唾棄する
肩には虜囚の霊が

笹舟を
みつけるそして指を
切る
つたう青いろの砒素
喪われた赤色のネガティヴ
私はそういう
泪袋の
化膿変転体である






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