僕と誰かの狂詩曲(ラプソディー)/月夜乃海花
 
に揺れるのみ。


「父さん、母さん。僕はみんなを守れるでしょうか。」兄は呟く。
「みんな、僕は食べ物を探しに行ってくるよ。それから、助けもないか探してくる。」
そして、走って船のデッキに出て行った。潮風が肌に染みる。急に涙が止まらなくなる。
「どうして、どうして。本当は僕だって辛いんだよ。」兄は泣き出した。
「でも、負けるもんか。僕は、僕は強いんだ。」

ぐっと涙を堪え、空を見つめる。この少年を見ているとかつて赤い肌をしたあの子を思い出す。必死に彼らは生きていた。これは試練なんかではない。だとしたら?
「あの、そこに居るのは?」

何も言わずに首を振る僕。頷く兄。

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