牧師になった彼のこと?/板谷みきょう
面しか思い出せない。
内容がどんなだったかも…。
ただ、汗を沢山かきながら、
精一杯、身一つで表現し続ける危うさ。
そこに誤魔化しや嘘がないことは、
一目瞭然だった。
そうだ。
彼とは、札幌の隣町の
江別の劇場兼喫茶
「ドラマシアターども」で
出会ったのだ。
ラジオドラマの脚本で受賞したとかで、
自信に満ち溢れた言動は、謙虚さに欠け、
時に傲慢にも見えたっけ。
当時のボクは、「フォークシンガー」として、
「風変わりなことをして、人の関心を引く」
甘ったれ屋を誤魔化す為に
ギターを弾き唄い叫んでいた。
自分自身を映す社会に
溢れている不誠実さに、
足掻き、藻掻き、苦しみ、
呻き、のたうち回りながら、
身の置き所さえ判らず。
彼もまた、ボクには、そのように見えた。
※牧師になった彼のこと
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