月のトレード/道草次郎
 
床屋のおばさんが
すき鋏片手に十六夜(いざよい)の月を吟じたから
ぼくは
十三夜の栗や豆の風情で鼓(つづみ)を打った

この惑星の住人の間ではどうやら
天体への個人的感慨が
日々トレードされているようである
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