鏡の仮面劇/ただのみきや
 
斜陽

やすらかな捻じれ
霙もなく恥じらう蔓草の
浴びるような空の裂帛
戸惑うことのない白痴的漏出に
栗鼠(りす)たちの煽情的リズムと釣り針式休符
聞き耳すら狩り出した
落葉の幽(かそけ)き笑い
掌に渦を巻く
嘘字の絡まりを潮解させて
光 ただ光の愛撫





家庭内錯覚

活躍出来なかった そんな負い目を保ちつつ
選手になれなかった者がコーチになる

自分と同じ失敗をさせないように早くから
手取り足取り 厳しく指導する

愛は時に鬼の仮面をつけるが
鬼はいつでも愛の仮面に己を隠す

成し得なかったことを得たいがため
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