無性にしたくなって/こたきひろし
あれは忘年会だったか新年会だったか忘れたけど
職場の宴会の夜
俺はまだ若かったんだ
酒を飲んでもしらふでも
俺は他人と打ち解けられない
性格がどうにもならなかった
いつものように俺は酒の場に浮いた存在だった
最初の内は皆自分の席で食べたり飲んでたりしてたから
俺にもお世辞のつもりで話しかけてきたり酒をついだり返したりしていたが
酔がまわるにつれて俺の周りからは離れて行った
それはいつも通りだった
そして俺はいつも通り途中で抜け出して街に出た
それを誰も気に留めないのもいつも通りだった
俺は俺なりに酔っていた
夜
街はネオンで華やかに化粧がほどこされてい
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