無性にしたくなる事/こたきひろし
途中で無性にカップヌードル食べたくなった。
コンビニの駐車場に車停めて店に入ると一個だけ買った。
店内で直ぐに開封し蓋を開けて備え付けのポットからお湯を注ぐ。
熱いそれを持って寒い外に出た。
駐車場の隅で片手にヌードル片手に割り箸持ってまるで盗み食いするみたいに食べた。
ある冬の夕暮れ。
生きている間にさんざん悪さすると
死んだら地獄に堕ちるって
閻魔様に舌を抜かれるって
子供の頃に親から教わった。
それを神妙に聞いていた。
そんな時分があったっけ。
大人になった今はそれを素直に信じられなくなっていた。
多分それが大人になった証拠なんだろう
天国も地獄も人間の創った夢物語。
死んだら
痛くも痒くもない無限の闇。
無性にカップヌードル食べたくなったら
何も怖れる事なく食べられるのは
ここが生きている世界だからだろ?
だってこの生きている世界にこそ
地獄も天国も紙一重にあるんじゃないかよ!
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