此処乍ら/AB(なかほど)
 

          いろをまつわかなえうらはさいたづま
           ろくとうをさがしにはるのよるにとぶ

           先に起ち斃れてもなお沙羅双樹/羅針盤二つ並べる分岐点/
           最果てに見えないはずの六分儀/後ろ手にいつのまにやら紫木蓮/
           上々の世人舞人庭桜/木星と真珠星と手繰りつつ眠る/
           野の花の咲き始めなど翳むまま/腹の底目を閉じたまま七北斗/
           何もない何もないからくぐる門/能見の石垣の隙初山鼠/
           色を待つ若苗 裏葉 左伊多津万/六等を探しに春の夜に
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