三篇の未詩/道草次郎
それに関し
ぼくは譲ることはできない
詩は誰のものでもない
ここにまとわりつくぼくの不快な匂いはそっくり誰のものでもない
この体臭はそのままひとつの宇宙が一時的にとる見せかけの平衡状態だから
そこに個性などはあろうはずはない
だから詩は終われないのだ
ほんとうの個性というものを紡ぐためには一人ではむりなのだ
すくなくとも凡人には
それがこの詩のいいたいこと
もちろんすでにそれは詩ではないだろう
しかしこれもまた
ひとつの詩
そういうところに
詩の可能性はこんなにも立ち込めているのだ
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