みずうみに 釣り糸をたらすと うつくしい皺が外縁へむかい 逡巡をひろげていく 魚のいない惑星では 玻璃でできた液体はとてもあおい 水べの図書館の閉架には 魚偏でできた文節が しずかな添い寝をしている 意味を呷ると 一筋の空がしたたり 森が育ち こどもたちが球状星団になる 風のきわ 見開きの神話がはためき 咳込む人の 熱は疾くいやされる ゆくところを失くした 風の歌が 井戸の底の永遠に こまごまと 舫いのようにゆれていた