初恋のようなもの/板谷みきょう
電話に出たのは
あの娘のお母さんだった
「今、買い物に出てて、居ないんだけど…。」
受話器の向こうの声に
カラカラになっている口で
「そうですか。解りました。」
そうして
ボクは失恋の悲しみ
痛み
苦しみを知った
いつしか
そんな若気の至りのような
恥かしくも甘酸っぱい
懐かしい思い出になった頃
結婚した彼女と再会したけど
お互いに家庭持ちになっていて
「あの時、結婚なんかしない。って言ってたのに
どんな人と一緒になったのさ。」
沢山の質問が、頭を過ぎっては消えて行く
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