流れず星/
道草次郎
甘柿が夜のきわ
闇の臥(ふしど)に熟れ育つ
不気味な馥(かおり)する
琥珀の月影のした
微細の夜霧の芳醇を
みえない腕で
掬うては
リノリウムの皮相に染ませ
流れず星
ひとすじ空にふるたび
その果核に
渋味の金塊鳴りひびく
戻る
編
削
Point
(4)