殺人ドローン VS 森の動物たち/阪井マチ
 
逃げることの愉楽あるいは不快さを思い知ったのだ。現実の世界で人に追われることはひたすら怖ろしく腹立たしい。しかし自分の設計したプランに従わせたとしたらどうだろう? 自分の意志を持たないものに私の思うまま追いかけてもらうのはどんな気持ちだろう? そう思ったとき裏庭に花が咲いたのだった。
 木を避けながら必死に走っていると、プロペラの回る音が段々大きく聞こえてきた。ここでおもむろにVRゴーグルを装着して視界を装置のカメラに置き換える。見える見える、がむしゃらに逃げる私の後ろ姿が! 身体の感覚は道なき道を這いずる泥臭い状況にあるのに、空からの景色はひどくゆったりしていた。視界の中心は私の背中に据えられ
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