殺人ドローン VS 森の動物たち/阪井マチ
吠声が互いを打ち消そうと応酬する。
さすがに狐では私の装置に敵わないだろう、みな駆除されるのかと思いながら見ていたところ、驚くべきことが起こった。大きな狐が何匹も、いや何十匹も集まって巨大な毛玉のようになり、装置へ向かって凄い勢いで跳ね上がったのだ。体当たりだ! 攻撃を受けた装置は空中姿勢がぐらついている。プロペラが破損したのかもしれない。
と、いつのまにか穴の側壁の至る所から細長い物体が何本もうねうねと出てきていることに気が付いた。それらは壁から這い出ると穴の底に、なんと垂直になって立ち上がった。恐るべきことに、それは糸ノコのような細さであるにもかかわらず、紛れもなくヒグマだったのである。
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