わたしはまだ子供でした。/こたきひろし
 
木を集めて筏を組もうと考えました。
わたしの家は川原の近くに有りました。その時間誰もいない筈なのです。

わたしは直ぐに家に帰り納屋からナタと縄を持ち出して川原に戻りました。流木から筏作りに邪魔な部分にはナタを振り下ろしました。
集めた流木を縄で縛りつけて、やっと筏らしき物が完成しました。
わたしはその達成感に歓喜しました。
そしてわたしは力の限りに筏を引っ張って川の水面に浮かばせました。

わたしはたまらずに筏に乗ってしまいました。
流木を手にして漕いでしまいました。
筏は川の流れに乗ってくれました。
その内に思わぬ早い流れに飲まれて筏は縄が緩みだし、直ぐにばらばらになりました。

後日
わたしは下流で水膨れの子供の死体になって発見されました。
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