わたしはまだ子供でした。/こたきひろし
田んぼの土手には篠竹をが生い茂り雑草も入り混じって、その先に見えるのは連なる山並みの内の立ちそびえる山の肌でした。
でも山と土手の間には川が流れて、その手前には川原が有る筈でした。
だからでしょう。長い間に篠竹と雑草がかき分けられ踏みしだかれて、一か所だけ川原に降りてゆく途が出来てました。
わたしは子供でした。
友だち一人いない子供だったわたしはなぜか家族の中でも浮いた存在でした。
いつも一人ぼっちだったのです。それというのも肉親にさえも馴染まない子供だったし、自分の殻に閉じこもる子供だったから、たとえ親兄弟と言っても可愛げなかったからでしょう。
明るい笑顔って大切なんですよね
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