名無し人/ひだかたけし
わたし
わたしが点在している
時間軸は消去され
点と点は結ばれない
ほら、あそこにもここにもわたしがいる
永遠の花園だ
垂直にそれぞれの孔を穿ち
わたしが不断にほどけていく
点在している私
時間はもはや流れ去り
疎隔したまま秋と成る
仕切りガラス
人が通り過ぎていく
仕切りガラスの向こうを
人が喋っている
仕切りガラスのこちらで
わたしはいない いなくなる
仕切りガラスという境界に
門
門が開いている
永遠に憧れたまま
根無し草の
宙吊りで
名無しの者にだけ
許されて
戻る 編 削 Point(6)