恋人と爆弾/ただのみきや
 
よっている





百鬼夜行

生まれ出るものはほんの一部
残りは澱み 怪異の温床となる
わたしの中から言葉を見つめる
無数の無言の目

史実を記した者は残したいことを記し
残したくないことは記さなかった
史実に残らなくても人の心に残ったものは
伝承から伝説へ やがては昔話へ姿を変えた

人は理性に包まれた混沌
美しい包み紙に重きを置く現代の躁鬱
粗末な掛け布からはみ出した古代の分裂

歯車のように仕組みの中で仕組みを捉え
夢の中でも眠りに飢える
それでも空は海より深く
深淵を見通す眼差しもあろうかと恐れて





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