マンホールの下/前方後円墳
 
〈君がマンホールの小さな穴に吸い込まれる〉
もう何日にもなる。
だから僕は一刻も早く、君を探さなきゃいけなかった。
ずっと寄り添ってきたはずなのに、何も言わずに君は夕焼けと一緒に行ってしまった。


〈あなたは……〉
もう昔話。
あなたはマンホールの隙間から滑り落ちて行った。私よりも先に。
私はあなたのそばに居る。あなたはそのことに気づいていない。あの時、夕焼けはちょっと私を引っ張っただけ。あなたはそのことに気づいていない。
それなのにあなたは、
あなたは私に引っ張られるふり
をあなたは気づいているはず。


〈僕はマンホールの下〉
もうどれくらいになるだろう。

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