セルロイドの秋/塔野夏子
 
多分 午睡の夢に
君がくれたセルロイドのホーリーカードが
舞い込んだんだ

だからほら
空は薄青いセルロイド
雲は白いセルロイド
どちらも淡く虹色を帯びて

道の両側に咲く
ピンクのコスモスの群れもみんなセルロイド

だけどこの光景に
とても似合うだろう君はいない
だからひとりで
ずっと歩いてゆく

それともこうして歩いてゆけば
君のいるところへたどり着くのかな

目をさますと
君がくれたセルロイドのホーリーカードに
白い薄陽が ななめに差していた


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