コスモスの咲く頃/st
 
羽をなくした蝶が

枯葉舞う
公園の片隅で
死んでいた

寂しくて
切なくて

思い出す
風のなかに消えた初恋


春の
さわやかな風のなかで
出逢い

夏の熱い風のように
夢中になって

秋の寂しい風とともに
去った

乙女は

行き交う風に
はげしく揺れる

色とりどりの
コスモスに似て

群れとぶ蝶を
もてあそぶ


追いかけつかれて
羽は張り裂け

青空高く
舞い上がり

いわし雲の彼方に消えた


羽をなくした蝶は
日々泣きぬれて

いつしか冷たい木枯らしに
また泣きぬれて
息絶えた


あれから秋がきて
コスモスの咲く頃は


いわし雲の彼方に

消えた恋の

想いをはせる




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