なんの纏いもなく/道草次郎
 
横溢するこの海にはクジラに打ち上げられた砂浜があって
でこぼこ道のどこまでも果てしなくつづく煤けた荒野には毒に噛まれた蛇が死んでいます

いいのですこれでいいのです
自分はこのようなものですそうなのです

一度は純粋に泣けたのです産まれた時にです
それきり拐われて銀河を経巡り幾度か死んで
それからまた蘇生し
それでも尚こうしてもだえている

そのことの真実を真実と呼ばずしてなんと呼ぶのかと
そう思いながらも空しく終息していきます
そう思うのです
そう思いつつ消えゆくので
あります


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