伐採/山人
 
の山は越えたのか、あるいは階段を何段か登ったのかはこの後になってみないとわからない。とりあえず肩の荷が一個だけ取り外された気がした。
 会計を済ませ、病院の玄関近くのレストランで味噌チャーシュー麺大盛りを注文した。店員はわずか一名の三〇代後半くらいの女性だったが、きびきびとした応対で切り盛りし、地味な店員という仕事をまるで職人のようにこなしていた。誰もがやれそうな職種であるが、その仕事を探求し、如何に完遂していこうとする強い意志のようなものが感じられた。きっと彼女も、余分な因子として切り倒される側の杉なのかもしれないが、その所作は美的にすら見えた。医師や看護師は残される側の木であるかもしれない。
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