終日秋桜寝る子も起こす/
ただのみきや
の爪は
光に濡れて稚(いとけな)く
口に含んでみたかった
ままごと遊びの遠い日よ
どこで失くしてしまったか
少女の顔は剥がれ落ち
秋の野山の千切り絵で
菓子箱みたいに包まれて
暗い夢路を運ばれた
手向ける願いの儚さよ
影に日向に追いかけて
瞳の奥に沈めたい
冷たく香る秋の朝
覚めれば萎れた掌に
乗せた白菊そこはかとなく
《2020年10月17日》
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