終日秋桜寝る子も起こす/ただのみきや
 

雨色に染まり
濡れそぼつ猫のよう
辻を曲って忘れ物
取りに戻ってそれっきり
溺れるほどにこらえ
秋桜 斜めに見やり





病葉

山葡萄は美しく病み衰えた
雨の日には悲哀
 見つめる心に呼応して
      詩のように自在に





昼と夜

昼と夜は背中合わせの双生児
隔てる距離も時間も在りはしない
地球は絶えず目覚め絶えず眠っている

光と神が同義だったころ 人は
闇の中へ死や災いの全てを追放した
追いやられた忌むべきものたちは
様々な衣裳仮面をつけて眠り中に現れた
それらは語られ やがて書き留め
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