石ころ飛んで来る/こたきひろし
 
餓鬼の時に
投げた筈の石ころがいきなり飛んで来た

 痛い!
俺の頬をかすめて皮膚が切れた感覚があった

果たして血が垂れたか垂れなかったかは
それを確かめる鏡がこの世界の何処にもない代物だから
解らない

何しろ
餓鬼の頃はほとんど善悪の判断持ってなかった
悪さしても罪の意識薄かった

たとえばカエル捕まえたら
平気で腹にストロー突き刺して
口から思い切り息を吹き込んだりした

そこには生命の尊厳なんて
欠片も感じてなかった

餓鬼の時に投げた筈の石ころが
何の前触れもなくいきなり飛んで来た
そして遥か彼方へと消えた

そんな事あり得ない
俺は
[次のページ]
戻る   Point(1)