石ころ飛んで来る/こたきひろし
餓鬼の時に
投げた筈の石ころがいきなり飛んで来た
痛い!
俺の頬をかすめて皮膚が切れた感覚があった
果たして血が垂れたか垂れなかったかは
それを確かめる鏡がこの世界の何処にもない代物だから
解らない
何しろ
餓鬼の頃はほとんど善悪の判断持ってなかった
悪さしても罪の意識薄かった
たとえばカエル捕まえたら
平気で腹にストロー突き刺して
口から思い切り息を吹き込んだりした
そこには生命の尊厳なんて
欠片も感じてなかった
餓鬼の時に投げた筈の石ころが
何の前触れもなくいきなり飛んで来た
そして遥か彼方へと消えた
そんな事あり得ない
俺は
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