I Won't Grow Up/ホロウ・シカエルボク
 

受話器を耳に当てたけれど水難事故の被害者の泡音が聞こえてくるだけだった、そこでそうそうに電話を切って、そのとき電話が鳴らなかったらしようと思っていたことを実行しようとしたけれど、それがなんだったのかを一瞬すっかり忘れてしまって、いっそのことほかのことをしようかと考えていたところ、ギリギリで思い出した、昨日の夕食からシンクに溜めていた皿を洗うつもりだったのだ、ソファーから立ち上がり、身体をゆっくりと左右に揺らしてみた、昼食はあらかた消化されたようだ、近頃体調がすぐに崩れるのでいちいち確認しながら動く癖がついた、なにかが明らかにされていない、なにかが完全には修復されていない、いまいましいことには違
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