『大成功』/道草次郎
0,032%も似ていたもので、つい。この惑星はどうも、風が勁いですね。」
観測者は予期してきたとは言え、暫くは得体の知れないジュクジュクした思いに浸されてしまった。だがやがて生来の冷静さを取り戻すと、不二の構造的性質と同一性の暗がりゾンビに対する理解、延いては「嫉妬」との条約締結への足掛かりに必要となるであろう一切の為、観測者は冥府の哲学者と賽の河原で興じる翁にコンタクトをとることにした。
キラキラした宇宙船のようなラボはしかし、観測者の実家の納屋を改装した小部屋だった。母屋のキッチンからママンの茹でるスパゲティの匂いがつたわってくる。外は南風。何本かの潅木が庭奥の闇にのっそりと立ち閑
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