かけない手紙を 他/道草次郎
 
「かけない手紙を」

かけない手紙を
くもにしたためたい
くもはながれながれてあの街へ

読めない本で
眠りたい
夢見の国はほろんで咲いて

さみしい人と
さかなになりたい
海底火山へ遊覧飛行

1人の部屋を
2人にしたい
部屋は部屋の外で待機中

かなしみよりも
やっぱり風とあなたの八重歯
井戸のそこには
青い鳥



「アンガーの詩」

時計へ
おまえは態度がわるいぞ
だっておまえは時間なんてちっとも知らないんだからな
チクタクチクタク
それがおまえの仕事なのは分かるが
もう少し態度を改めろよ
でなけりゃ打ち壊してくれるぞ

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