人体実験/ただのみきや
を要求した
彼女は機械の教派と教義の信者のように無垢のまま
高所作業車が空の神経に咬み付くと
皺の寄った太陽は御守り袋を開いたままで沈黙した
時間は裸体で落下してミミズたちのSOSには答えずに
煌びやかな散乱でレジスタンスを鎮圧する
透明な隠蔽
忘却はすでに鬨(とき)の声を上げ
犯人は次々処刑され
紫陽花は色を変え
物事の重さは絵へと塗り込められてゆく
ばら撒いては巻き上げる
この国の秋は美しい光輪を帯びて
小火
今朝方胃の袋上部のアパートの一室で小火(ぼや)があり
強いラムを頭から被って焼身自殺した五
十代
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