人体実験/ただのみきや
うな 促すような沈黙が
面倒は先延ばし
わたしは仕事へ向かう
生ごみに出すか
土に埋めるか
鴉が持ち去ることを期待して
詩は方便
わたしの生は詩へと瓦解する
虚構として再構築され
前世のように匂い立つもの
詩と呼び馴らす
棺あるいは墓石に宿るもの
真実と
口にした途端偽りとなり
鏡の国で無限増殖する
その夢幻的変換
主観的幽霊を
詩と名付けて可愛がる
つまり方便
わたしがそう呼ぶものを
他人にもそう呼んでくれなんて
端から思っていない
慰労会
もう長いこと世話になりっぱなし
ずいぶん迷惑もか
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