薄紅の寂しさに/こたきひろし
 
頭でしか書けない詩人と
やたら命を叫ぶ詩人とが
一緒に荒野に佇んで
灰色に濁った空を見上げても

世界は何も変らない
世界は何も変らない
世界は何も変らない
世界は何も変らない

世界は何も変らないんだよ

恋愛に一途に火花を散らす詩人と
すっかり自分に酔いつぶれた詩人とが
仄暗い酒場で一緒に
胃が爛れるくらいまで呑んだとしても

世界は何も変らない
世界は何も変らない
世界は何も変らない
世界は何も変らない

世界は何も変らないんだよ

反戦と平和を訴えながら
ついでに書いている詩人と
閑居活動の為に書いている詩人とが
一緒のトイレで排便しても

世界は何も変らない
世界は何も変らない
世界は何も変らない
世界は何も変らない

世界は何も変らないんだよ

神にひざまずく女性詩人と
ひざまずかない男性詩人とが
一つのベッドでむつみあったとしても

それがなんだと言うんだ
それがなんだと言うんだ
それがなんだと言うんだ
それがなんだと言うんだ

それがなんだと言うんだよ


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