天国はここ、って歌ってたやつもここからはいなくなったし/ホロウ・シカエルボク
一番愚かなことは
放課後の中で学んだ
一番美しいもののことは
禁忌の中で学んだ
一番罪深いものは
日常に転がっていた
一番悲しいものは
自室の本棚で震えていた
引戸の滑りが駄目になったのは
小さな傷のせい
出て行こうとするたび
咎めるような音を立てる
かかとを鳴らしぼくは出て行く
休日の
兵士のような
中途半端な気難しさで
チャイコフスキーの悲愴が
頭の中に張り付いてる午後
時代の中にはいないものを
おざなりな
現実を鼻で笑うためのものを
土に還れない
蝉の死骸を蹴飛ばしてしまう瞬間
ぼくは
侵略者の後悔を知る
そんな話をしたって
多
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)