二行詩/道草次郎
「マルヤマさん」
分際をしると、少しだけ銀河が親しげな顔をするけれど
帳簿を間違えたら、マルヤマさんの不幸が大幅に緩和された。
「耳たぶの裏」
一つか二つ隠し事をしたい。でも年末ジャンボは居間の神棚の上。
隠し事とする自分と隠し事をしない自分、その両方を耳たぶの裏に隠し持ちたい。
「悪夢」
だれか登場してくださいといったら自分が登場した。
ひとしきりダンスを踊った後やっと金縛りから解けて、真っ暗な部屋にひとり居るじぶん。
「謎かけ」
右目に訊いたら何も見なかったと言ったので左目にも訊いた。
月の裏を人類が初めて見たのはつい最近、左目は右目のことは信用できないと取り合ってくれない。
戻る 編 削 Point(0)