雨が降っています/道草次郎
雨が降っています
たった1平方メートルの地面すらこんなにもたくさんの雨が降るのだから
世界はきっと泣いているに違いありません
自分には想像できないなんらかの理由で
始まれるのでしょうかそもそも
みんな偉い人に思えるのはたぶんただの誤認
みんなもみんなでその人自身
苦労も苦悩ももちろん誤認もその人の引き受けたもの
雨は止みそうにありません
一滴という単位を与えられた雨粒はあれはぼく
そしてその隣に落ちた雨粒も他の誰かのぼく
そういう無数の雨粒が駐車場の水溜まりに落ちては水溜まりとなってしまいます
その水溜まりは他の雨粒を受け止める小さな池であり続けるでしょう
あんまりあっさりにも
あんまりこってりにも生きられないのです
欠伸しながら真面目なことをするのが丁度いいけれどなかなかうまくは行かないもので
欠伸と真面目は分割してしまうのです
みんなそういうので悩んでるということは知っています
掛ける言葉もありません
水溜まりもやがて乾上がることでしょう
もう一度泣くために地球は透明な満足を空の高いところへ送ったのかも知れません
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