からっぽの夜/ホロウ・シカエルボク
動く気のないおまえよりも
おれは行き場をなくしていた
ポケットに残っていたキャンディを
口の中で転がしながら
夜が明ければすべては終わるだろうかと
ただこうしていてもすべては終わるだろうかと
ぼんやりと考えていた
そしてそれは間違いじゃなかったけれど
ホテルから届く忘れ物の通知のように
あの夜がこんな風に
時折目の前で泳ぐ
あんな夜の中で
あれ以上何が出来たのか
あんな夜の中で
ほかに何が言えたのか
選択肢のすべてが正解ではなかった
けれど
後悔ばかりが騒ぎ立てるのはなぜなのか
猫の鳴声が聞こえる
都合よく
眠ってしまえれば
それが一番いいのだけれど―
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