振り返ること?/道草次郎
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じつに色々な利用者がいた。何から話せば良いかかなり迷ってしまう。
朝のごみ捨てのサービスをする為だけにわざわざ20キロ先から直勤して、玄関のチャイムを鳴らすと、いきなり「殺すぞ!」と怒鳴り付けられた時はさすがにびっくりした。あんまりびっくりしてかえって爽快だったぐらいだ。あの時の朝空の美しさは今でも覚えている。
それからこれは別の利用者だが、生活保護の金が入るとすぐにナンバーズ4を買って来いというのもいた。しかも、そのナンバーズ4が奇跡的に当選するのだから始末が悪い。気が付くと、ピカピカの新しい冷蔵庫なんかが台所にあって、なぜかヘルパーであるぼくが古い冷蔵庫の中の
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