他人の車/道草次郎
 
の乗合だろうか。たとえば5人乗りのぎゅうぎゅう詰めならどうすればよいか。ほとんど置物のように固まったままどこか一点を見つめなければならないかも知れない。もしくはひっきりなしにお喋りを続けるしかないかも。ダッシュボードに置かれたゆるキャラにオアシスを求めても無駄だろう。きっとそれ以上にこの社会の匂いの圧力は凄まじいはずだ。感受性の強い人は耐えられないかも知れない。なんの前触れもなく降車してしまうかも知れない。しかし、だいたいは我慢するだろう。変な気持ちの悪い汗なんかをかいたりしながら座っているのだ。

でも、そんなことを何年も何年も続けていると、段々それにも慣れてくるような気になってくる。ああま
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