何となく日々は過ぎていく/こたきひろし
っ迫していた。
彼が店から与えられた仕事時間は午前十一時から夜の九時までだった。出勤時間は変わらないが退店時間は
思うようにはいかなかった。なぜなら店の営業時間は夜の零時までだったからだ。最終バスは十時だったから、それ迄には配慮されて帰されたが、どうしようもなく忙しい時は帰れなくて最終バスを逃す羽目になる。そんな時は理不尽にもタクシーを拾うしかなかったが自腹になってしまった。滅多にないが、それを店に請求出来ない気弱さが彼にはあったし、たとえしたとしても店はそれを素直に払わないだろうと言う理不尽さがあった。経営者は懐の狭いケチをいつも見せつけていたのだ。
その日は普通に定刻にあがり最終
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)